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まだこの世界に神々が住んでいた頃のお話。

神々は音を愛でて楽しんでいました。

目に映るものを表現し、それを聴かせ合う遊び −−−

それはのちに、我々が音楽と呼ぶものです。

 

なかでもひときわ美しい調べを弾き、愛を語る女神。

名を「ミューズ」と言いました。

そしてミューズには愛す神「ファレス」がおりました。

ファレスはどんな音色もひとつにし、美しい曲に変えるのです。

ミューズとファレスは、それはそれは素敵な音楽を奏でては

他の神々をも楽しませていました。

 

しかし、日々が過ぎていく中で

2人の考えに少しずつ違いが生じていきました。

 ファレスは音楽に完璧なものを求め「正確なものこそ美しい」と。

 ミューズは音楽に感情を求め「心で表現するものこそ美しい」と。

ある時2人はついに仲を違えてしまいました。

 

失望したミューズは、ファレスに言いました。

 

 『ファレスよ、あなたがこのままでいるつもりなら

  私はあなたの前から去りましょう。

  もし考えを改めて、私を愛する覚悟があるのならば

  パンドラの箱を作って私に捧げてください。

  そのとき、私は再びあなたの前に現れ

  永遠の愛を誓いましょう。』

 

その約束を残し、ミューズは消えてしまいました。

自らの魂を10に分け、魔力で世界を満たして…

 

それを嘆いたファレスは、人々に「音楽」を教えました。

ミューズの遺した魔力を音楽によって使えるようにしたのです。

 

その魔力を引き出すことのできる者たちを探すため。

世界に散らばった10の魂を見つけ出し、パンドラの箱を作るため。

そう、ミューズを愛するため。

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